抹茶を初めて買う人の多くが、最初の一缶で迷う。通販の「茶道用グレード」は8ドルから60ドルまで、どれも同じ顔だ。値段は7倍違っても、見分ける手がかりは書いていない。

だが、プロの見方は単純だ。色、産地、グラム単価。この3つでほぼ決まる。

8ドルの缶は、色がくすんでいる。飲めば刈った草の味がする。一方の35ドルは、緑が不自然に濃い。その緑は、染料で作られている。どちらも、買い手が見分け方を知らないことを当てにした品だ。3つの手がかりさえ押さえれば、こういう罠は避けられる。

色は、5秒で見分けられる

いい飲用抹茶は、驚くほど鮮やかな緑をしている。光にかざすと、うっすら発光して見えるほどだ。この色の正体はクロロフィル。覆いをかけ、日光を遮って育てた葉ほど、クロロフィルを多く蓄える。とりわけ、その年最初に摘む一番茶の若葉が濃い。

くすんだオリーブ色、茶色、黄緑がかった粉は、逆のサインだ。酸化しているか、鮮度が落ちているか、遅摘みの葉で作られている(thes-traditions.com、AZ Matcha)。TeaTradeはこの判定を一言にまとめている。生きて見えるか、乾いたハーブに見えるか。

もう一つ、知っておくといい。低グレードの抹茶を染めて、鮮やかな緑を演出した品がある。大手から小規模まで、市場のあちこちで出回っている(AZ Matcha、Rooted Nutrition)。見分け方はこうだ。緑が不自然に均一で、蛍光色に近い。なのに、口に含むと甘みや旨味ではなく、苦味と渋味が立つ。色でほぼ見当はつく。残りは味が決める。

「日本製」は入り口にすぎない

「日本製」は最低条件であって、それ自体がゴールではない。産地が日本でなければ、飲用グレードとしては見送っていい。中国産の抹茶は、覆い下栽培の基準なしに育てられ、加工の仕方も異なることが多い(各種ガイド)。

ただ、日本産というだけでは何も決まらない。鹿児島の量産グレードと、宇治の一番茶で作った茶道用。どちらも嘘偽りなく「日本の抹茶」だが、値段も品質も大きく違う。選ぶべきは、国名だけでなく産地まで書いた品だ。宇治、西尾、鹿児島。産地を隠した缶は、買い手が一番知りたい情報を隠している。(この話はグレード解説で詳しく扱った。)

値段は、グラムで割る

表示価格は忘れて、グラム数で割る。この数字ひとつが、缶に並んだどんな売り文句よりも正直だ。

グラム単価目安
0.20ドル/g 未満(30gで約6ドル)高グレードでも適切な覆い下栽培でもまずない。非日本産や混ぜ物の可能性
0.20〜0.50ドル/g料理用〜入門プレミアム。ラテや焼き菓子向き
0.50〜1.00ドル/gプレミアム〜茶道用。薄茶に向く。日本産か、産地名まで確認
1.00〜2.00ドル/g 以上高級茶道用。宇治の一番茶か、それに準ずる。濃茶にも十分

2026年は、一つ大きな注意がいる。2024〜2025年の碾茶不足を経て、卸値の碾茶は2025年より3〜6割高い水準で動いている(One With Tea)。県によっては入札の上げ幅がさらに急で、2026年春の京都・鹿児島の碾茶は、前年のほぼ倍まで跳ねた。価格帯は全体に上へずれている。2年前ならプレミアムが買えた予算で、いまは入門クラスがやっと、ということも起きる。全体像は不足の解説にまとめた。

保存が、鮮度の寿命を決める

抹茶は開けた瞬間から傷みやすい。酸素、光、湿気。すべてが劣化の原因だ。だから、中身と同じくらい、何に入って売られているかが効く。

  • 選ぶのは、密閉できる不透明な金属缶。透明な袋や紙のパウチは避ける。
  • 開けたら30〜60日で使い切る。冷蔵庫か、涼しく暗い場所に置く。
  • 開ける前に常温に戻す。缶の内側の結露を防げる。
  • 未開封の茶道用グレードなら、製造日からおおむね6〜12か月もつ。

こんなラベルは、棚に戻す

次のどれかが当てはまれば、いったん保留でいい。

  1. 産地の書いていない「茶道用グレード」。
  2. 産地が中国、または「ブレンド」とだけ(飲用グレードの場合)。
  3. 透明なビニール袋で売られている。
  4. 30グラム缶で15ドルを切るような安さ。
  5. 収穫日も製造日もない。
  6. 原材料に「抹茶」以外が並んでいる。

最後に

どんなガイドも、「これを買えば間違いない」という一缶は名指しできない。品質はロットごとに変わり、不足の時期はそのブレがさらに大きくなる。できるのは、宇治の茶商が最初に走らせる3つの確認を渡すことだけだ。光にかざす。産地を読む。グラム単価を計算する。「茶道用」の一語より、この3つのほうが、8ドルの草と35ドルの染料からずっと確実に守ってくれる。

要点

  • いい飲用抹茶は鮮やかな緑(クロロフィルが多く、早摘み、覆い下栽培)。くすんだオリーブ・黄・茶色の粉は、酸化・鮮度落ち・遅摘みのサイン(thes-traditions.com、AZ Matcha)。
  • 低グレード品には色を染めた偽物がある。見分け方は、不自然に均一で蛍光色に近い緑なのに、味は苦く渋いこと(AZ Matcha、Rooted Nutrition)。
  • 日本産を選び、できれば産地名(宇治・西尾・鹿児島)まで書いた品を。非日本産の飲用グレードは避ける。
  • 値段はグラムで割る。約0.20ドル/g 未満は要注意、0.50〜1.00ドル/g がプレミアム〜茶道用。2025年以降、卸値の碾茶は3〜6割高く、一部の入札はほぼ倍まで動いた。
  • 不透明で密閉できる缶に入れ、開けたら30〜60日、冷蔵で使い切る。